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無罪判決㉓ David Sancious







いよいよ、引っ越しが現実のものとなってきた。
この2~3年で売ったCD、レコードは数十万。
それでも新居に引き継ぐ音盤の山はたいしてスリムにはなっていないと言うのが実情ではある。
ここまでのオークションでの売却活動は無駄であったのかと虚しくなるほど荷物の多さに辟易するが、売却を免れた音盤達は我が人生のパートナーとして一生のお付き合いとなるはずである。良かったなお前ら!


今回の無罪確定盤はデヴィッド・サンシャス。
黒人の鍵盤奏者で元々はビリー・コブハムのプロデュースによりジャズ・ロックの音楽スタイルを取りデビューしていた人だが、自らのユニット「TONE」を結成しアルバムを出すごとにプログレ色が強まっていくと言う異色のプレイヤーでした。
それでもそんな白っぽい音楽の中に黒人性のフィーリングがチラチラっと顔を出すところがなんともカッコ良く、すっかりサンシャス・フリークになっていたものでした。

アルバムを買い進めて行くうちにこの「THE BRIDGE」も手にするのですが、これは一転ソロ・ピアノアルバムだった。(正確にはシンセやギターも重ねるので純粋なピアノアルバムではないのですが)
彼の作り出すプログレ・ジャズ・ロックが好きだったところに購入当時はちょっと拍子抜けしましたが、今ではそのリリカルなピアノが心地良く、失礼ながら肌の色を超越した音楽センスに聴き惚れてしまうわけです。
やっぱり自分はサンシャス・フリークだわ(笑)。

しかし、レコードは場所を取る。
余裕で保管できるような広い家に住めるように努力するしかないか。





dsancious-thebridge.jpg David Sancious/the bridge (1982)




無罪判決㉒ Bobbi Humphrey




“lover to lover”




ボビー・ハンフリーはやはりブルー・ノート時代のクールなサウンドが良く、EPIC移籍後はブラック・ミュージック感は強まったものの商業的な成功を意識した部分がありありで個人的にはあまり好きではなかった。だからもっぱら聴くのはBNの数作。これは、ボビー・ハンフリーがと言うよりもマイゼル兄弟が短い間生み出していた独特の浮遊感があまりにも至高の産物であったに他ならない。その稀有なブラック・フィーリングにボビー・ハンフリー、彼女の力強いフルートがベストな形でマッチしていたのだ。それはフルート奏者が創るソウル・ジャズアルバムとしては最高のコンビネーションだった。

ジャズのフルート奏者ながら、技術的にはけして巧いわけではなかった彼女が進む方向性としては、マイゼル兄弟で成功したように腕利きのサウンド・クリエイターに良質のバックグラウンドを作ってもらい、そこに乗っかるしかなかったと言うのが実情だろう。EPICに移ってからはさらに商業志向に進んで行く事となるが、それならそれで良しとしてもっと弾けてくれれば良かったのにフルート・プレイが前面に来るようなインストを数曲挟む「プレイヤーとしての自負」が中途半端に邪魔をするようなアルバムの出来栄えであった。

そんなイメージで遠ざかっていたこの「Tailor Made」だが、今回あらためて聴いてみるとBN時代のクールさがかなり残っており、ひとつひとつの楽曲もなかなかの佳曲である。そうか、そう言えばこのアルバムの立役者はスキップ・スカボロウだった。マイゼル兄弟とも一緒に仕事をしていた一時代の名クリエイター。派手な仕事はしないけれど時代の名曲に少なからず関わってきた人だけあってここでも渋くその手腕を発揮しているようだ。

そして彼女のもうひとつの武器はそのキュートなヴォーカルだろう。いや、フルートと同様でヴォーカルもけして巧くはない。しかしその可愛らしい歌声が一生懸命な所はどこか許せてしまうのだ。鍵盤におけるパトリース・ラッシェンに通ずるところのフルート奏者はボビー・ハンフリー。そんな立ち位置だったのではないでしょうか。

いまだに好きになれない曲もあるけど、捨てる気にもならない。そんな感じの一枚デス。



bobbihumphrey-tailormade.jpg Bobbi Humphrey/tailor made (1977)




無罪判決㉑ AZYMUTH










正直な話、ラテン系フュージョンのアルバムはあまり持ってはいなかった。嫌いではないし、聴けばそれはそれで心地良かったりするんだけど、なぜか手が出ない部類の音楽である。それは自分がいまだ現役世代で、もっぱら音楽を聴くのは通勤・帰宅の電車の中か、排気音やタイヤの走行音が響きまくる静粛性の「せ」の字も無いローバー・ミニの車内、このどちらかと決まっているからなんだろう。アジムスのシンプルな編成による清涼感漂うインストルメンタルは、これまでの僕においては聴くシチュエーションが少なかったのだ。嫌いではないんだけど聴く機会に恵まれなかった。良いバンドとは知りつつ、ブラジルのジャズ/フュージョンならこのバンドとはわかってはいても、どうしてもネットでポチッとするのは他の音楽になってしまっていた。そしてこれから当分の間においても、だろう。

だから、今回アジムスのアルバムを裁判にかける事になったが、この“fly over the horizon”を聴いてしまうともうダメである。懐かしの「クロスオーバー・イレブン」だ。フュージョンではなくクロスオーバーと呼ばれていたあの時代に「今日と明日が出会う時」と言う粋なキャッチフレーズをクロスオーバーに掛けていた、NHKにしては素敵なセンスを持った名番組。レコードが買えなかった少年時代に毎晩せっせとエアチェックをしていたあの頃が蘇ってしまう。今こうしてブログやHPで好き放題音楽を語れるのもこの少年時代があったからこそなのだ。ついでに若かりし時のさまざまな思い出まで思い起こしてしまった。ダサかったけど、楽しかったあの頃。あ、いや、今が楽しくないわけではありませんが。

そんなアジムスのアルバムを捨てると言う事は、自分の思い出も捨ててしまうような気がする。そして、いずれはアジムスの他のアルバムも集めてじっくりと聴けるような生活になりたいものだと。よって、これも無罪判決。

ほとんど聴くことのなかったアルバムなのに、実は有罪とする理由が全く無かったと言う珍しい判例である。




azymuth-lightasafeather.jpg AZYMUTH/light as a feather (1979)








無罪判決⑳ Bill Meyers





“sky”feat.EW&F






ビル・マイヤーズ。このアルバムもイメージとして黄金期を過ぎた90年代フュージョン、と言った一方的な思い込みからもはや20年前後もCDの山の中に埋もれていた存在だった。

この人と言えばアース・ウィンド&ファイアの白人ブレーンとしてデヴィッド・フォスターと並ぶ、いやそれ以上の貢献をして来た事で知られているがとりわけキーボード・プレイにおいてはDフォスターよりも存在感を出していたと言っても過言ではないだろう。

そんな彼のリーダー・アルバムは80年代中盤から90年代にかけてゆったりとした製作期間を経て数枚発売されていた。これは3枚目にあたる作品だ。
90年代のインストものにはもうすでに魅力を感じなくなっていた自分としては1~2度聴いたきりだっただろうか。とにかく全てにおいて整然とされ過ぎていて、きれいな音色で一曲一曲が並べられているが音は右から左に通り過ぎ何も残らない…といった印象。何と自分勝手な感想だろうか。いやこの人に限らずこの時代から今にかけてのインストものはそのように勝手に決めつけてしまっているところはある。当然今回も裁判のテーブルに上がった。

今回はカー・オーディオとスピーカーを新調した車の中で聴いてみた。つまらないスムース・ジャズと決めつけていた自分勝手なイメージが覆ってしまったのだ。ヴォーカル・ナンバーを適度に挿み、ビルのキーボード・ソロもグイグイ胸ぐらをつかんで来る。聴きながらついついアクセルを踏み込んでしまうようなドライビング・ミュージックとしてもこれはイケそうだ。極めつけはモーリス・ホワイトやフィリップ・ベイリーらも集まったEW&Fメンバーがサポートする“sky”。

なんだよ、かなり良いアルバムじゃないかと。ジュエル・ケースの割れた、おそらくはビルの幼少期ではないかと思う蝶ネクタイをつけた子供の顔が写されたジャケットを眺めながらまたしても無罪判決を下してしまうのでした。


bmeyers-all.jpg Bill Meyers/all things in time (1996)







無罪判決⑲ LINX

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