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Dreamweaver






“happy trails”






ジョージ・デューク追悼特集として昨年から一年以上に渡り彼の足跡をひとつひとつ辿ってきましたが、ついに今回がオリジナルとしては最後のアルバムとなりました。


前作から3年の月日をかけてリリースされたこの「dreamweaver」はその前年cancerによって亡くなられた愛妻Corineに捧げられたものとなっていました。当然ながら妻の死を受け入れられず音楽に向かい合えない時期があったようですが、ある朝に見た朝日をきっかけにメロディーが素直に沸いて出てきたと言うことでアルバム制作に着手したという事になっています。しかし今ではそれもひとつのきっかけだった事は確かながら、自らの体調の変化に気付き自分自身に向き合ったアルバムを作りたいと思うようになったと推測せざるを得ません。デュークがこちらを見つめ、その指先からは七色のオーロラが発せられていると言う、デザイン的に日本のデザイナーには生み出せないセンスのジャケットがまず目を引きますが、今回のアルバムタイトルは「夢織りびと」。中ジャケのピアノ線から七色の織り糸に変わる絵から、その「夢を織る人」はまさにデューク。これは当の本人もとても素直な気持ちで作られたアルバムと言っているのですが、ジャズ、ファンク、ソウル/ヴォーカルなど様々な曲調が繰り広げられるのは今まで通りなれど、今回はそれぞれが実に落ち着いている。わかりやすく言えば熟練職人の佇まい。いや、もっと掘り下げると悟りの境地にたどり着いたと言う所だろうか。エンタテイメントを「狙った」ものではなく、ナチュラル・フィーリングによって生み出されたメロディーを基にデュークの真の姿が滲み出ているのだろう。妻の死、そして今まで通りではなくなった自己の現実を乗り越えて浮かび上がる音楽がひとつひとつ紡がれて行く・・・。そして肝心の音、実はこれがまた新しい。様々なカテゴリの音楽が出てくるのは変わらないのですが、今までのアルバムとは音が確実に違うのです。前作「デジャヴ」がその名の通り既聴感に満ちたものであったのに対し、今回は根本から一新された感があります。その鍵盤のプレイ、フレーズやヴォーカルでデュークらしさは十分に伝わるのですが、全体の音の構築がまるで生まれ変わってしまったかと。まさに悟りを開いたかのようなアルバム全体から漂う強い精神性がそう感じさせるのかもしれません。ラシェル・フェレルとデュエットする“missing you”の痛切だけではなく、“ball & chain”で歌うティーナ・マリー、そして数曲で参加するお気に入りのギタリスト、ジェフ・リー・ジョンソンなど、妻だけではなく音楽仲間の相次ぐ死去を目の当たりにしてきたジョージ・デュークが「夢織りびと」となって哀悼と共に音楽への愛を紡いだアルバム。そして、その後デュークも彼らのもとへ旅立ってしまったのだ。


最後の曲“happy trails”は彼の作品としては今まで無かったような雰囲気が漂っている。これはオールディーズ・カントリーのカバーだが「よい人生を。また、会いましょう」と歌うこのナンバーを最後に置いたのは間違いなくこれを聴く我々へのメッセージだった。おそらくデュークはもうこれが最後だとわかっていたのだろう。一足先に旅立つ自分のラスト・メッセージとして暖かく、優しく、そしてどこかもの悲しいこの曲を選んだ。聴いた当初から心境の変化を感じさせるものだったが、リリース直後の悲報でその意味が明らかになってしまった。しかし、自らのキャリアを締めくくる上でこのアルバムを作ることが出来たのは凄い事だと思う。内に沈んで少しずつフェード・アウトするでもなく、何も残さずに突然居なくなるわけでもなく、実に天晴れな終わり方だと。これで全て納得の上で彼にさようならが言えるし、また、会おうねと言う気持ちにもなれたから。



あなたは最高の音楽家であり、見事な生き様でした。
自分にとって、人生の一部でしたよ。


ありがとう、ジョージ・デューク。


また会う日まで。






gduke-dreamweaver_20141206232833dad.jpg dreamweaver (2013)





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コメント

[C265]

去年書き込みさせていただいた者です
もしかしてこれで最終回、でしょうか。ジョージデューク歴の浅い自分(それでも30年以上のファンですが笑)にとってひとつひとつディスコグラフィを紹介してくれた貴重なブログで毎週楽しみに見ていました。既成概念を打ち破るチャレンジミュージシャンだったことが良くわかりました。濃いアルバム解説に感謝です。まだまだこれで終わりとは言わずにプロデュースや他のアーティストとのからみなどいろいろ紹介してください。
  • 2014-12-17 23:12
  • KUM
  • URL
  • 編集

[C266] ありがとうございます

KUMさん、書き込みありがとうございます。

思わず書き始めてしまった追悼特集でしたが、こうしてメッセージをいただくと自分としてもやり遂げた感があります。

誤解されがちなジョージ・デュークの音楽人生を、少しでも多くの方に理解していただけるものになっているのではと思っています。

そうですねー、続きは考えていないのですが、またいろいろとご紹介するかもしれません。自分としてはオリジナルのアルバムすべて解説させていただいたところで、ジョージ・デュークに対する喪が明けたと考えています。

長々とご覧いただきありがとうございました。

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